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尻の穴

キスダム 第二十二節 妄蒐 ヌケガラ

戦場となった海域を潜行する艦。
世界各地の様子がモニターされる一室。燻司令と、傍らには真崎がいます。
ベルゼブの大群はこうしている間にも拡大を続け、真崎によると後七時間で世界のすべてがベルゼブに覆いつくされてしまうそうです。
ベルゼブの脅威を考えれば、それは人類滅亡の宣告にも近いものです。

「生き残る可能性のある者が、一人います」
「一人…?」
「司令、あなたです」

真崎は玲…ベルゼブを操る存在の母親である司令ならば、と彼女に促しますが、司令は自らを世界を滅ぼした元凶であると首を振り、これまでの経緯を振り返る。

「元々、伝承者に選ばれるということは通常の意味での人生の終わりを意味すること。彼らの運命は、以前から定められていたものと判断します」
「が、少なくとも彼らの人生を奪うレールを敷いたのは、私であることに変わりはない」

ネクロダイバーに拮抗しうる力を持った裏返りであり、かつての仲間でもあるNES隊のメンバーを刺客として差し向けたこと、ハーディアンに対し効果のある「アフラーシステム」の普及を妨害しようとしたこと。

「問題はハーディアンを倒すかどうかではなく、いつ倒せるか。あるいは、敗れるか」

また、哀羽シュウと七生愁、二人のシュウの戦いと、運命を大きく捻れさせた流姫那由乃についても言及。

「私は一体、誰を救ったのかしらね?」

そんな中、スタッフからは漂流者を発見したとの一報が。
真崎が一旦放っておくように命じますが、司令は何を思ったか、救助するようにと命令。
息を吹き返した救助者の許へ出向くと、そこに横たわる乃亜と対面します。

「なぜお助けになったのですか?」
「…さっき言ったわね。玲は母親の私をどうするのかと」

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「愛なんて、初めからなかった」
「一番あの子を恐れていたのは私。一番あの子を憎んだのも私。あの子は母親の愛なんて知らずに育った。今更、誰か一人救ったからといって贖罪でもないわよね」

そこへ意識を回復した乃亜が起き上がり、探し求めた姉の敵、そして人類の敵である彼女に詰め寄りますが、彼女は先程までの憂いを帯びた表情を消すと「もう死者の書に用はない」と一蹴します。



「無限の宇宙、無限の惑星に、それは存在する。知性ある生命体がそれに触れたとき、死者の書が発動し、その星の代表、つまり伝承者・ネクロダイバーを選び出さなければいけない。なぜなら伝承者は後継者と戦わなくてはならない運命にあるから。伝承者が勝てば力を継承し、その世界の人類は、新たな進化を遂げることになる。だが、敗北したときは――人類は最後の一人まで黒き印に食いつくされ、死滅してしまう」

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死者の書の秘密、そしてその戦いの意味を語る燻京香。
彼女は物語の冒頭で語られた「セイレーン二世」の事故に巻き込まれた一人であり、その時、海底に眠る大きな石板に触れた人間でもあったのです。

石板――死者の書は彼女にベルゼブの跋扈する未来を見せ、そして死者の書の子供である玲を与えました。

「そういえば、姉さんが言ってた。死者の書の影響を受けた生物は、世代を重ねながら、変種していくのかもしれないって…だから、死者の書に触れたあなたから生まれた玲は、変種してハーディアンに…」
「玲はハーディアンではなかったわ…かわいい、女の子だった」

玲は母親となった京香の許ですくすくと育ちますが、やがて死者の書の子供としての片鱗を発揮し始めます。

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「くろいてんてんは、ひとをたべちゃうの!でねでね、みーんなたべられて、しんじゃうんだよ!」

そんな彼女を京香はやがて精神病棟へと預けようとしますが、「ママといっしょにいたい!」と泣き叫ぶ玲の姿に結局はそれも叶わず、やがて京香はNIDFを組織。

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「呪われた子供として生んでしまった現実に目を背け、私は非情になりきろうともがき続けたわ…NIDFを組織したのは、私が苦しみから逃れるための、免罪符だったのかもしれない」
「でも人類は敗れた」
「そう、20年間積み重ねてきたわずかな希望も一夜にして消え去り、世界の崩壊を目の当たりにしたとき、私は悪魔に魂を売ったのよ。玲を生んだように、自ら絶望を生み出し、伝承者が覚醒する前に止めを刺せば、戦いは終わり、私たち人類は全滅から免れるかもしれない…私はそれに賭けた」

伝承者が死ねばこの進化を賭けた戦いは終わる。
死者の書が狼騎さんではなく哀羽さんの手に渡ったあの時、司令は見切りをつけ、戦いの早期終結を望んでいたのです。
そして今、伝承者の命が失われたことも司令は「遅すぎた」と嘆きますが、乃亜は「あなたは間違っている」と首を振ります。

「そうね…私は、ずっと間違っていたのかもしれない」
「違う…シュウは死んでいない、生きているわ」

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「由乃オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」

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身を包んでいたコーティング剤をその内に取り込み、ついに軛を破った伝承者・ネクロダイバー。
「四人目が動き出した」「乃亜たちは竜宮城へ」といった情報を読み取り、由乃も無事であると判断した哀羽さんは、由乃を求め再び飛翔します。

「乃亜が無事なら、きっと由乃も生きてる!……あいつがついてるからな



そして戦いの中心となっている海上には、全国のレジスタンス勢力が続々と集結。
その中には猛スピードで接近するネクロダイバーの姿もあり、乃亜は「シュウだわ!」と目を輝かせます。

「諦めちゃいけない!シュウとともにみんなで戦えば、人類にも世界にも希望はあるわ!」
「ネクロダイバーが…生きていた…!?」

ネクロダイバーの復活と共に迫り来るクライマックス。
ここからネクロダイバーのリベンジが始まります。
by kaname1102 | 2010-10-25 00:51 | レビュー