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尻の穴

「キスダムR」BD化によせて

「キスダムR」がBD化するとのことで、先日から予約が開始されています。
詳細は以下。


キスダムR-ENGAGE planet- Blu-ray BOX化プロジェクト


ブログを見ればわかると思いますが、僕はキスダムが好きで、Twitterでもけっこうな頻度でその話をしています。
「キスダム」無印の放送は4年前、2007年に遡り、当時僕はまだ10代でした。
現在も毎週数十本、年間100本超の新作アニメが放映されていますが、07年に放映されていたアニメの数はさらに多く、本数の増加から当然のごとく現場は苛烈を極めていたと聞きます。

そんな中放映された「キスダム」第一話は当時のクオリティから見ると「中の下」程度であり、僕個人は興味を惹かれたものの、周囲の評価はさほど良くもない、悪くもないといったものでした。

しかしながら続けて第2話、そして第3話が放送されるとそれは完全に「悪い」方向に傾いていきます。
理由は明確、「作画が悪かったから」です。
明らかに台詞と連携しない口パク、同じ話数で何度も使い回される戦闘シーン、終いには声だけが緊迫感を煽り、肝心の映像は瓦礫の山を延々と映し続ける。
さほど作画に頓着しない自分をしてもあまりにひどいと思われたそれは、2ちゃんねるやふたばといった掲示板では予想通り「クソアニメ」と貶され、一部では「監督が逃げた」とも噂されました(このことは後に公式サイドから否定されました)。

今でも語り草になっている第4話の総集編の放送が終わると、ネット界隈でも「キスダム」への議論はあまりされなくなり、その評価はマイナス方向へ固定されたまま、視聴者の目は同時期の「グレンラガン」「リリカルなのは」「ダーカーザンブラック」などへと向けられて行きます。

ところが、僕は「キスダム」を見ることをやめてはいませんでした。
一時期の作画の悪さ、それに話の急展開も相まってお世辞にも手放しに誉めることのできるアニメではなく、視聴意欲の減退から録画にはしばしば穴が空きました。
それでも、録画予約を解除しようとはなぜか思えなかったのです。

何かが変わってきたと感じ始めたのは無印10話あたりでしょうか?
相変わらず作画は崩れ気味なのがデフォルトで、話の筋も初見ではメチャクチャ、というのが正直なところです。
しかし戦闘シーンへの力の入れ方は心なしかこれまでより増しており、話の最後、自ら命を絶ったキャラクターの姿に何か感じるものがあったのも確かです。

19話、20話ともなると同クールのどのアニメよりも僕は「キスダム」を優先して見るようになっていました。
今ほど環境が整っていなかったため、当時はそれほど集中して2ちゃんねるなどは見ていなかったのですが、いわゆる「裏返った」という状態でしょうか。
主人公・シュウと妖精たちが心を通わせていく様子に胸を躍らせ、最終回の顛末は呆気に取られたものの。不思議と批判する気持ちにもなれませんでした。

DVDが発売延期のままだと聞いたのは随分後になってからです。
当時の僕の財政状況はあまり芳しいものではなく、アニメのDVDはとても手の届くものではなかったのです、というのは言い訳でしょうか?
DVDのリリースがされないまま、一年が経った頃、僕は新聞のテレビ欄に「キスダムR」の文字とその横に新番組の表示がされていることに気が付きました。

「これってあの『キスダム』の続編?」

今でもたくさんの方が口にする疑問を、僕も感じました。
ネットで調べると、当時の映像の修正版とのこと。
興味はあったものの、BS環境のなかった僕にはどうすることもできず、時間だけが経ち、やがてTwitterを始めました。

SNSというものにあまり触れていなかったため、最初は何を言ったらいいものかもわからず、散文的に好きなアニメや好きな小説、日常のことなどに触れていましたが、ある日気まぐれに「キスダム」のことに触れると思わぬ反響があり、それまで趣味を共有できるほどの友人がいなかった僕は、放送中でもないアニメの話に興味を持ってくれる人がいることにある種の感動すら覚えました。

それからは、自分自身もバンダイチャンネルなどで見返しつつ、「キスダム」の話をするようになりました。
自分が「キスダム」に関連したツイートをすることでこうなればいい、と具体的なビジョンがあったわけではないのですが、今思えばスポーツで負けている方のチームを応援する、くらいの心理だったのかもしれません。

Twitterでの自分のスタンスが固まった頃、「BDタイトル投票」へのアクセスを開始しました。
これはBD化を推薦するタイトルに一日一回ネットを通じ投票し、最終的に制限付きでブルーレイ化する映像を決定するというものです。
正直言って、あまり期待はしていませんでした。
「true tears」「ゼーガペイン」がBD化された2回とも「キスダム」はエントリーされていましたが、どちらも最終的には商品化まで持ち込むことができなかったからです。

そう思いつつ投票を続け、毎日のようにキスダムと呟いていると、徐々に「キスダムって何?」と興味を持ってくれる方や「おもしろかったよね」と同意してくれる方が増えてくるのが感じられました。
ラジオで主題歌が流れたり流れなかったり、雑誌に載ったり立体化アンケートに名前を連ねてみたり、考えてみるとここ数年のネットライフは「キスダム」と切り離すことのできないものでした。

そんな中での突然の再放送とBD-BOX化の決定。

あまりにも突然すぎたそれは僕には受け入れ難いものであり、どこかで「騙されているのでは」とも思っていましたが、USTや公式の発表がなされるともはや信じる以外にありません。
当初の発表では「発売への個数制限なし」とのことで、共通の見解として「2000個の下限があると厳しい」と考えていたらしいファンは胸をなで下ろしたのですが、何の因果か再放送を控えた3月中旬に東日本大震災が発生。
情勢の変化に伴って「キスダムR」BD-BOXの仕様は「2000個の入金で生産決定」へと変更されました。

予約はすでに先日の5月9日から始まっており、およそ一ヶ月の間受け付けています。
僕はすでに予約しました。

「R」になって作画が修正されたとは言ってもあまりに癖のある本編、やや古臭く、華やかさに欠けるシナリオとキャラクター、そして何よりネットを中心に広まった悪評。
マイナス要素はあまりに多く、風向きは良いとは言えないでしょう。
それでも僕は、「キスダム」を応援して、今度こそBD化すればいい、と心底思っています。
もしかしたらそこには不特定多数に対し勧めたことへの後ろめたさや義務感が含まれているのかもしれません。
でも、これだけは確信を持って言えます。

「このアニメはおもしろい」

いろんな言葉を考えましたが、結局はこれが一番なのだと思います。
もしも「キスダム」がつまらなかったら、どうあがいてもここまでは来れなかったでしょうし、批判的な意見に過剰に反応することもなかったはずです。
それは取りも直さず僕と同じように「おもしろい」と感じていた人が相当数いたということで、BD化への挑戦は言葉だけでなく、実感としてファンみんなの力なのだと思います。
先に「2000個の下限は厳しい」と書きましたが、実のところそんなに心配はしていないのです。
「キスダムはおもしろい」という、この確信があれば、仮に今度のBD化が流れても、その次、またその次と流れを引き寄せられる、そんな気がします。

だから、無理をして買って欲しいとは言いません。
再放送を、あるいはバンダイチャンネルで配信を見て、買う価値があると思ったら予約してください。
荒い作画や大味のストーリーの中に光る何かを感じたあなたを、「キスダム」はきっと裏切りません。

予約は6月6日まで。

尻の穴は「キスダム」のBD化を応援しています。

キスダムR-ENGAGE planet- Blu-ray BOX化プロジェクト
by kaname1102 | 2011-05-14 04:54 | 日記