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尻の穴

キスダム 第六節 同死 シンユウ 

キスダム 第六節 同死 シンユウ

「俺がな…パイロットになりたかったわけ、言ったっけ」
「んっと…『モテたかったから』。百万回聞いた」

薄暗い通路の中で会話しているのは、亜久里さん。そして玲。
奥へ進みながら亜久里さんが哀羽さんに対しての恨み言のようなことをつぶやいています。

「で、俺はあいつに言ってやったわけよ。『てめえみたいな恋愛至上主義者が、世界を駄目にしてるんだ』って。な」
「負け惜しみだぞ☆亜久里」

軽口を叩きながら最奥に達した二人が対面したのは、『ゲルドの守護神』と呼ばれるハーディアン。
玲に言わせれば「哀羽シュウ並の威力」のそれが放つ攻撃を、しかし亜久里さんはやすやすと躱す。

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「ほう、哀羽並ねえ。そりゃあんまりにも弱すぎじゃねえかい?バケモンさんよぉ!」




「化け物!」

亜久里さんが言い放つ一方、別の場所で、同じくそうした叫びが。
その視線の先にいたのは…

「こいつのことか?それとも…」

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「俺のことか?」

アバン終了。Aパートへ。

哀羽さん、それに乃亜とイエラたちはとある街で「NIDFの制服を着た人物」の情報を手に入れます。
サルファハーン。彼らの次の目的地はそこです。





あっさりと『ゲルドの守護神』を倒した亜久里さん。
その体内を探ると何やら鏡のようなものを発見します。

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玲によれば、それが『ゲルドの鏡』。重要なアイテムのようです。
「世界を支配だってよ。どうする、哀羽」





サルファハーンに向け歩みを進める哀羽さんたち一行。
拠点としていた村を失った乃亜は由乃を殺した燻京香の手がかりを求め、哀羽さんに付いて行くことを選んだようです。イエラはそんな乃亜を放っておけない、というところでしょうか。

その二人を妖精さん三人組は「足手まとい」と切って捨て、「なんなら殺すか」と恐ろしい提案をします、

「おもしろくないぞ。一人ぐらいボケたらどうだ」
「ボケとはなんだ?」
「なんだ?」
「武器か?」

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「ヤバいよヤバい。あいつどんどん独り言増えてくよ…」

端から見ればぶつぶつと一人で喋っている哀羽さん。イエラにまで気味悪がられています。


サルファハーンへ到着した一行はNIDFの制服を着た人物を発見しますが、錯乱していてまともに話を聞くことができません。
そこへナイフを投げつけ颯爽と登場したのは…

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死んだはずの亜久里さん。
男性を指して「おまえみたいな甘ちゃんが引っかかるように仕掛けられた罠」と評しますがそれは誰による罠で、なぜ亜久里さんはそれを知っているのでしょうか。
疑問を感じながらも亜久里さんとの昔話に花を咲かせる哀羽さん。
あの時ハーディアンにやられたはずの仲間たち。
理由はどうあれこうして彼とまた出会えたのは、哀羽さんにとってやはり喜ばしいことなのでしょう。

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「もう新しい彼女か?」
乃亜を見た亜久里さんは哀羽さんの肩を掴みます。
「違う。彼女は由乃の…妹だ」
「何?主任に妹がいたのか」
「ああ。だけどお前が思ってるような」
「主任も踏んだり蹴ったりだよなあ」
哀羽さんの否定は亜久里さんによって遮られる。
「知らない間に彼氏を妹に盗られちゃよ。毎度毎度、おまえばっかりいい思いするよなあ。女も、ネクロダイバーの力も」
「おまえ…なぜネクロダイバーのことを知っている?」


亜久里さんの手に、少しずつ力が込められる。
哀羽さんはそんな彼に疑問を抱きますが、ヴァルダによって「離れろ」と警告されたときにはもう彼の体は宙に浮いていました。

廃屋の壁に叩きつけられる哀羽さん。
「なぜだ亜久里…なぜ生きている?」

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「おまえに会うために帰ってきたんだよ。地獄からな!」

哀羽さんを再び殴り飛ばした亜久里さんは絶叫と共に変形。その姿を全身に目玉のついた異形のものへと変えます。

「亜久里ぃ!」
「裏返ったな」




「はーじまった♪始まった♪仲間同士の殺し合い!」

その様子を陰から観察している者がいます。

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「あはぁ♪友情って美しい!」

玲。





Aパート終了。Bパートへ。

亜久里さんの変貌に驚く哀羽さん。
ヴァルダによればそれは「裏返り」。哀羽さんが死者の書の力を受けた時の光が、断片として亜久里さんに影響を及ぼしているようです。

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「強烈な意志がハーディアンの体を乗っ取ったのだ」

亜久里さんの体を覆う複眼は確かにあのときのハーディアンの特徴そのもの。
彼の「負のエネルギー」がそうさせているみたいです。


哀羽さんは妖精さんたちに促されテイルボーンで攻撃を仕掛けますが、相手がかつての仲間ということもあってか全力を出すことができません。
「甘いぜ!哀羽ァッ!!」
哀羽さんに向い突進する亜久里さんを、不意に衝撃が襲う。旅客機の残骸に隠れていたイエラの狙撃です。
「邪魔くせえ!!」

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イエラーーーーーーーーーー!!!
これは生きていたとしても、全身火傷くらいは免れないのではないでしょうか、というレベルの爆発。
でも生きてます。
特に怪我もないようですね……ハイ。
この件は深く追求しないでおきましょう。


全身の目により乃亜の動揺を感知した亜久里さんは彼女にも攻撃を仕掛けようとしますが、哀羽さんのイグ=ソード、ヴァイレの電撃、ヴァラールの防御でそれを封じられます。

「見えない力で守られてるってなあ、本当らしいなぁ!」

亜久里さんがその掌から取り出したのは、『ゲルドの鏡』。

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「たまには化粧しようぜ!嬢ちゃんたち!!」

そこから発射された黒い輪のようなものがヴァルダたちを包む。
それは『情報転写』するためのものらしく、『転写反転』を避けるために彼女たちは実体化して走り出します。
彼女らを追いかける亜久里さんにはイエラの銃弾も軌道を読まれ、当たりませんが、機転を利かせた哀羽さんはテイルボーンを地中から走らせると、その脚を取ることに成功。

「見えなきゃいいんだろ!」
「お前にしちゃ、頭いいな!哀羽!!でもよ!」

束縛から逃れた彼の攻撃する先は……乃亜とイエラ。
哀羽さんはそれをかばって攻撃を受けてしまいます。

「思ったとおり、まんまと盾になりやがったな!女に優しい奴は勝てねえんだよ!」


哀羽さんの体内へと手を伸ばす亜久里さん。
玲の狙いは実体化したヴァルダたちだったようですが、彼にとって優先されるのは哀羽さんの体内の死者の書。





それを岩陰から見守るヴァルダたちはすでに存在が危うくなっているのか、特にヴァイレ、ヴァラールからは哀羽を見捨てるべきであるとの意見も出されますが、ヴァルダだけは「まったく希望がないわけではない」「真の目覚めへのチャンスはある」と反論。
「なすべきことをなすまでだ」と何かを決意したような瞳で呟きます。





死者の書を求め哀羽さんの体を探る亜久里さん。
いよいよその本体に触れたのか、手を引き抜くと、哀羽さんの体から文字列のようにして溢れ出す死者の書の情報を、右手の『ゲルドの鏡』から吸収していきます。

「おお…感じるぜ…これが死者の書の力か!さあ来い!全ては俺のものだ!圧倒的な力で世界を支配してやる!!」
亜久里さんのセリフ…
なんだかとっても雑魚キャラっぽいです…


そうして亜久里さんが高笑いしていると、死者の書の力に混じり人の姿が形成されてゆきます。
その姿は…

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由乃。


「やめろ……俺から、由乃との思い出を……奪うな!」

哀羽さんの中の記憶の実体化。
彼の中で由乃はそれだけ色濃く刻まれているということでしょうか。


「こいつは驚きだ…こんなのアリかよ」
思わぬ出来事に注意を奪われる亜久里さん。

「今だ!」
ヴァルダの声がイエラを振り返らせる。
「蹴るのだこちらへ!その銃を!」

イエラが蹴り上げた銃を構えるヴァルダ。
その銃口の先にいたのは、哀羽さん。


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「歯を食いしばれ!!」

発射された銃弾は哀羽さんの体と、その先にあった亜久里さんの持つ『ゲルドの鏡』を貫きます。
亜久里さんは即座に反撃のための行動を起こしますが、ヴァイレの炎、ヴァラールの防御によって阻まれます。

「哀羽アアアアアアアアッ!!」

激怒した亜久里さんの一撃によって吹き飛ばされる哀羽さん。
「ヴァイレ、ヴァラール!無事か」
それでも彼の戦意は失われておらず、「やつの目を封じる」と右腕に力を集中させます。

「ヴァイレ!激震!!」

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『アルカダス』!!!

振動により砂漠の砂が空中に巻き上げられる。
いくつもの目により、死角を持たない亜久里さんでも、見えないものを見ることはできない。
先程のテイルボーンやヴァルダの銃撃と同じです。

「どこだ!出て来い!哀羽アアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

その一瞬の不意を突き、砂塵を割って突入する哀羽さん。

「小賢しいんだよ!!」
「受けろ!ヴァラール!!」
ヴァラールによる守護。

「このおおおおおおおおおおっ!!!」

「ヴァイレ!電撃!!」

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『シャット=スピン!!!』

ヴァイレによる破壊。
全てのしもべの力によって、哀羽さんは亜久里さんを打ち破りました。

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「あいつに…哀羽に俺は、負けるのか」

亜久里さんは自分の負けを認めた瞬間、少しだけ安らかな表情に。

その一方で戦いを観察していた玲はつまらなそうな表情。
無感動に「どっちみちみんな滅びる」と意味深な発言をします。
どうも玲は「人類を救う」と言っている司令とは少し立場が違うような気もします。




「結局、二等のまま終わっちまったな……チキンレースはもう、引退するわ……」
地面に倒れ伏したまま哀羽さんにこぼす亜久里さん。
その顔からは、憑き物が落ちたようにも感じられます。
「おまえ、はじめから俺とやりあうために」
「ふざけんな。せっかく命拾いしたってのに、わざわざてめえなんかに会いに来るかっつーの…」
「…そうか」

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「女好きの馬鹿野郎だったが、チームじゃ一番気があった…」
「似たもの同士ってな」

その言葉を最後に、亜久里さんは息を引き取りました。



沈痛な面持ちの哀羽さん。
そんな彼の前にヴァルダ、ヴァイレ、ヴァラールの三人は実体化した姿で現れ、特にヴァルダは姿を消す術を失ったことで、戦闘力が半減したことを告げます。


「これでわかったろ。俺はこいつと同じ、体の中に異物を飼っている化け物さ」
「そんな言い方はやめて!」
自嘲する哀羽さんに、乃亜が声を上げる。
「俺は運命を受け入れた。後悔はない」
「だったら、どうしてここが痛むの!」

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「涙を見せなくても心は泣いてる。私には見える!その痛みがある限り、あなたはどんな姿になっても人間なの!」
(そう言いたかったんだよね。姉さん……)


この戦い、失ったものは多大。
哀羽さんが得たものは、果たしてあったのでしょうか。
そしてヴァルダたちが感じ取った、「四人目」の存在……

物語はまだ始まったばかりです



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つづく
by kaname1102 | 2010-05-23 23:20 | レビュー